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死亡の元警部補を書類送検 中央署盗難事件の経過 記者解説

2020.2.14 15:39
 3年前の5月、広島中央警察署1階の会計課に保管してあった詐欺事件の押収品である現金8572万円が何者かに盗まれたことが発覚したのです。

 「大きなホテルや県庁のそばで、広島市内中心部にあるのが広島中央警察署です。広島県警の中でも扱う事件の数などが最も多い警察署です。」(梅川千輝記者 2017年)

 警察署から多額の現金が盗まれるという前代未聞の事件―。金庫の鍵が入った会計課長の机の引き出しには何者かにこじ開けられた形跡がありました。県警は、現場の状況などから証拠品や鍵の管理方法を知る内部の犯行の可能性もあるとみて、調べを進めていました。

 「広島中央警察署の盗難事件が未解決の状態で離任せざるをえないことにつきましては、心残りであり心苦しく思っています。」(広島県警 名和振平元本部長 2018年1月)

 報道機関は当初から記者会見を開くよう再三求めてきました。初めて開いた記者会見は事件発覚から8か月後。当時の県警本部長は未解決のまま離任することを謝罪しました。

 さらに…。

 「あってはならないことであり、県民のみなさまに深くお詫びを申し上げます。」(広島県警 石田勝彦前本部長 2019年4月)

 事件発覚から2年を前に、事件当時の警察幹部の処分が発表されました。容疑者の特定に至らないままの先行処分。県警はあくまで「金庫に保管してあった現金の管理が不適切だったこと」についての処分だと説明しました。

 一方、見つかっていないままの現金8572万円について県警は、職員やOBで補てんする方針を固めました。

 これまでに投入された捜査員は延べ4万4千人以上。現役警察官・職員やOBを含め関係者およそ600人から聴取して、6万件以上の口座などを金融機関に照会してきました。

 発覚から2年9か月。事件は大きな動きをみせようとしています。


  ◇  ◇  ◇


 ― 発覚当時から、この事件を取材している松原記者です。書類送検されたのは、すでに死亡した元警部補でした。どんな人物だったんでしょうか?
 「県警はこれまで、容疑者の特定など捜査の進捗状況について『捜査に支障が出る』として回答を差し控えました。一方、関係者への取材によりますと、事件発覚後、早い段階から元警部補は捜査線上に浮上していましたが、休職中の2017年9月に自宅で亡くなっているのが発見されました。」

 ― なぜ、警部補が捜査線上に浮かんだのでしょうか?
 「盗まれた現金は、詐欺事件の証拠品でしたが、元警部補は、この事件の捜査に携わっていました。広島県警は、元警部補が、押収された現金が会計課の金庫にあることを知りうる立場にあったことのほか、ギャンブルが原因で同僚に借金を重ねていたうえ、事件後に返済していたことなど、状況証拠を積み重ねて現在に至ったとみられます。一方で盗まれた現金は見つかっていません。」

 ― 県警が、このタイミングで書類送検に踏み切った理由は?
 「事件発覚からまもなく3年が経とうとする中で、当時の名和本部長から石田本部長、そして現在の鈴木本部長へと代替わりしました。そして、事件があった広島中央警察署の井本雅之署長は、通常1、2年で異動することが多い中、発覚当時から変わらず異例の3年目を迎えています。そして、来月定年退職します。そういった意味で、当時、関わった人物が異動や退職で少なくなりつつあることや、先月、警察庁長官が交代したことも影響している可能性があります。」

 ― では、今後の展開は?
 「容疑者死亡のまま書類送検ということは、不起訴になります。つまり、事件の真相が裁判で明らかになることはありません。犯行動機、計画性などは元警部補の口から語られることは、ないということです。だからこそ、県警には十分な詳しい説明が求められると思います。」
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