RCCNEWS

P
R

特集 島根に移住 元店主の新たな人生 コロナ禍の居酒屋閉店

2021.11.24 17:47
 コロナ禍で常連客と別れのあいさつもできずに広島市の居酒屋を閉じた店主…。新たな人生のスタートを切りました。スローライフを始めてみると、たくさんの出会いが待っていました。

 色鮮やかなカブ、そしてコイのマリネに幻の豚と言われる岩見ポーク…。これらすべて、島根県邑南町の地元の食材を使ったランチメニューです。料理するのは、小牧尚博さん。

 小牧さんは、広島市の繁華街で、21年間にわたり居酒屋を経営していました。日本酒を盛り上げようと、飲食店の仲間たちや蔵元とイベントも開いていました。そんな小牧さんですが、50歳を超えたころからある思いがよぎるようになりました。

 「51歳かな。もう先が見えてきて。ずっと街で店をするのは楽しいんですけど、家賃をずっと払い続けて、維持するのが、年取ったら難しいなと思い始めたんです。」(小牧尚博さん)

 そんなとき、20年来のつきあいがあった島根県にある蔵元に相談したところ、空き家を紹介されました。1年前に移住を決断し、コロナ禍で営業もままならない状況だった店は6月に閉めました。

 「まともなあいさつもせず。勝手にいつの間にか。そんなもんですね。最後、残酒をどうにかしようと思って、みんなに振る舞おうと思っていたんですけど、それもままならず。」(小牧尚博さん)

 購入した空き家を改修するかたわら、4月からは、妻の利恵さんとともに邑南町の地域協力隊員として働くことになりました。

 「生産者の人といっぱい知り合いになりたいんですね。こうやって手伝わせてもらうと、信頼関係がね、できてくるじゃないですか。なので、ずっとそういうふうなことをやって、もう楽しいばっかりで、これでお金をもらえて、土日だけ商売もさせてもらえるってね。」(小牧尚博さん)

 この日も無農薬で育てた野菜の収穫・出荷作業を手伝いました。実は、大矢寿々美さんはこの夏、腰を手術したので、ことしの野菜の収穫は半ばあきらめかけていたそうです。

 「それはもう助かりました。どうしようかと思っていたから。みなさんのおかげで本当になんとかなるもんだと思って。」(大矢寿々美さん)

 採れたての野菜は、地元の道の駅やレストラン、そして広島市のデパートでも扱われています。

 「長く広島市内でやられたプロの方がこっちに来て、やられるのはうれしいこと。一緒に同じ目標に向かう仲間ができて、よかったと思います。」(ローカルフードラボ 佐藤聡社長)

 先週末、空き家を改修したカフェ「くまのしっぽ」が、オープンを迎えました。当面の間は、土曜・日曜のランチとその後のカフェ営業のみとなります。オープン初日、広島から娘夫婦も手伝いに駆けつけてくれました。

 「新型コロナがあったので、好きなようにやって、もう楽しんだらいいんじゃないって思いました。」(小牧さんの娘 倉本春香さん)

 「かっこいいと思います、本当に。自分の夢に向かって突き進んでいるので。」(娘の夫 倉本和宜さん)

 11時半からの開店でしたが、1時間前には広島から前の店の常連客がやってきました。さっそく店内を見て回ります。料理の方は…。

 「おいしい。」(前の店の常連客)

 地元食材を使った料理に満足そうです。家族連れやご近所の友達同士など、続々と地元の人たちがやって来ます。

 「オープンした気がしていないですね。まだ練習している気がします。まだ知り合いしか来ていないし。知らない人が来はじめると、ちょっと緊張感が出てくるんでしょうけど。」(くまのしっぽ 小牧尚博さん)

 「おいしかったよ。きれいに盛り付けがしてあって、きれいなお皿だし。ちょっと、ちょっとのところがいいね。」(客)

 空き家を紹介してくれた蔵元の杜氏も駆けつけてくれました。

 「お酒と食って切り離せないもの。おいしい料理を作ってくださる方が身近にできて、とても心強いです。」(玉櫻酒造 桜尾尚平杜氏)

 小牧さんは、来月から地域協力隊員として、酒造りも手伝うことになるそうです。初日の営業を終えたころ、ランチメニューを記念にと母娘で写真撮影です。

 「あんまり父のご飯を食べてきてないんですよ。でも、やっぱり食材がいいので、見た目もすごくきれいだし、お肉もおいしそう。」(娘 倉本春香さん)

 「楽しかったですね。ちょっとバタバタして、きょうは娘夫婦が手伝いに来てくれたので、なんとかできましたけど。これはいなかったら、たいへんだったでしょう。今からはこんなことはないと思うんで、ゆっくりのんびりできますので、ゆっくり来てください。」(小牧尚博さん)

 元居酒屋店主の新たな人生が、ゆっくり動き始めました。
  • twitter
  • Facebook
  • LINE

PAGE TOP